整骨院で健康保険による施術を希望される方へ

　整骨院では、すべての健康保険の取り扱いを行っていますが、どんな場合に整骨院で保険が使えるのかをご説明します。

　疾患名としては、「骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷」という五つの外傷のみが、保険適用可能となります。

　ただし、骨折・脱臼は（応急処置を除くと）医師の同意が必要になりますし、レントゲンなどの診断機器も院内にありませんので、ここでは省略させていただきます。

　従ってここからは、打撲・捻挫・挫傷といった外傷での保険利用についてご説明します。

　まず筋肉・腱・靱帯・関節包・半月板・椎間板などを痛めた場合、そのケガがどうやって起こったかで、「打撲」・「挫傷」・「捻挫」に分かれます。

　衝突や転倒で痛めた場合は「打撲」、関節が無理にひねられたりして痛めた場合は「捻挫」、無理に伸ばされたりして痛めた場合は「挫傷」といいます。

　ただし、靱帯・筋肉・半月板など、どの組織が損傷したかはケースバイケースですし、どのくらいの損傷で外傷（ケガ）といえるかは難しいところです。

　私たち柔道整復師は、医師と違い診断権がありませんが、問診や各種徒手検査などでどういった外傷かを判断し、患者様にお伝えできます。

　しかし、患者様はその判断ができないので、ご自身の痛みが保険適用になるかどうか分かりません。

　受診したけど保険がきかず、自費施術によって想定外の施術料金を払う羽目になったという患者様もいらっしゃると思います。

　「整骨院で保険適用になるための４つのポイント」を是非覚えて、自分なりにアレンジした内容を、問診の際に整骨院の先生にお伝えください。

　①筋肉・骨・関節などに、痛みが出たか。

　②痛みが出て約３週間以内に来院したか。

　③痛みの原因が動作だったか。

　④一般常識的にみて、痛みと動作の間に因果関係があるか。

＜①～④の説明＞

　①コリ・疲れ・だるさなどは初発症状としてはだめです。

　「痛みが出ました」と伝えてください。

　②約３週間以上経ったら、急性・亜急性外傷ではないと判断されるので、難しいでしょう。

　③例えば「長時間座っていたら痛くなりました。」は、「長時間座っている」は「動作」ではなく「状態」なので、ケガとはみなされません。

　「座ろうとしたとき、腰を痛めました。」は大丈夫だと思われます。

　④例えば「パソコンをしたとき（した瞬間に）、首を痛めた」はだめです。

　「パソコンをする」と「首を痛める」の間に因果関係は見つけるのは難しいからです。

＜問診でのダメな答え方と正しい答え方＞

・（×）２日前にテニスをしたら肩が疲れました。→（〇）２日前にテニスのサーブをしたとき、肩が痛くなりました。

・（×）１か月前に階段でつまずき、腰に痛みが出ました。→（〇）２週間前に階段でつまずき、腰を痛めました。

・（×）昨日何時間もパソコンをしていたら、首が痛くなりました。→（〇）昨日何時間もパソコンをした後、後ろを振り向いた時に、首が痛くなりました。

　パソコンを長時間する→首が硬くなる→「後ろを向く」という動作をする→首を痛める

・（×）２週間前、出張で長時間車の運転をしたら腰が痛くなりました。→（〇）２週間前、出張で長時間車の運転をした後、車から降りようとしたとき、腰に痛みが走りました。

　長時間車を運転する→腰が硬くなる→「車から降りる」という動作をする→腰を痛める

　以上、健康保険が適用になるポイントをご説明しましたが、少し不足な点があります。

　例えば、原因が交通事故なら原則健康保険ではなく、自賠責保険になりますし、通勤中や勤務中のけがは労災保険になりますので、ご注意ください。

　患者様ご自身では、そのつらい症状が保険適用になるかどうかの判断は難しいと思われますので、いつでも当院へご相談ください。